助成金と補助金の違い|起業前に知っておき活用することで社員にも還元できる
助成金や補助金という言葉を耳にしたことのある人は多いでしょう。会社を経営すると接する機会も多くなります。しかし、起業前に助成金と補助金の違いを知っている人、活用方法を知っている人は少ないと思います。起業前に知っておくのと知らないので大きな違いがあります。
助成金は雇用保険が原資で補助金は税金が原資
助成金や補助金と一口に言ってもさまざまですが、一般的な会社が利用する助成金と補助金の場合、その原資が異なります。
助成金は、厚生労働省が管轄しており、雇用されている人が支払っている雇用保険が原資になります。正社員はもちろんのこと、一定時間以上働いている非正規雇用の人も雇用保険を支払っています。雇用される側にいると、失業保険がもらえるために支払っていると思っている人も多いですが、助成金にも活用されています。
一方で、補助金は経産省が管轄しており、税金が原資となり、自治体や政府が特定の分野や規模の会社の発展のためにお金を出している制度です。
助成金は雇用者の環境改善に支給され、補助金は事業に使った費用の一部が補助される。
助成金は、雇用保険が原資であることからもわかるとおり、雇用者の環境改善に取り組むことで支払われます。助成金は、3,000種類あると言われ、さまざまな状況で活用することができます。
わかりやすいところでは、雇用者がスキルアップするための研修を実施したとか、社員が介護休暇を取れるように制度を変えることで支給されます。
助成金によって、支給される金額は決まっており、新しい制度の導入にかかる費用が支給額よりも安くつく場合には企業はプラスになります。
一方で、補助金は事業に使ったお金の一部が支給されます。多くの場合には、最大○○万円で使った費用のうち、2分の1が支払われるという形になります。そのため、まず、使わないともらうことができません。また、全額が支払われることはありませんので、その事業で利益を出さないと補助金をもらう意味がありません。また、補助金はまずどういった事業に使うのかということで審査があり、審査が通って交付決定しても、補助金をもらう段階では事業の状況や支払い額が適切かということの確認がされます。
つまりもらいやすいのは圧倒的に助成金です。
助成金や補助金なんかもらわずに企業経営していくんだという気持ちはわかりますが。
起業するときには、助成金や補助金を目当てにはしていない人が多くいると思います。特に補助金については、手間もかかるうえに、事業内容を変更できないなどの制約が発生するケースが多いので、起業直後の不安定な時期には扱いにくいと思います。また、補助金目当ての事業をする人もいますが、それは本末転倒だと思います。
一方で助成金は雇用している人が支払った雇用保険を原資として、雇用側の環境改善に取り組む制度です。もし、助成金を活用することで、自社の社員やアルバイトの待遇が良くなるのであれば、経営者としては活用すべきだと思います。
助成金をもらうには少しテクニックがいるケースもあるので人を雇用する前には社労士に相談
助成金は経営者自身がおこなうことができますが、専門的知識が必要なので、専門家に頼む方がスムーズです。助成金は社労士(社会保険労務士)の専任業務となっていますので、社労士に依頼しないといけません。時折、他の士業の人が代行をしているケースもありますが、違法になります。場合によっては申請をした士業だけでなく会社側も何かしらのペナルティを受けるケースがありますので、注意してください。
そもそも人を雇用すると社会保険などさまざまな手続きが必要となります。それらの手続きをしてくれるのが社労士です。これから人を雇用するという状態の企業の場合には、経営者が一線で事業をしないといけないケースが多いと思います。お金を払ってでも事業に使える時間を確保することが大事です。
そういう意味でもアルバイトであっても、人を雇用する状況になったら社労士を見つけて、相談をしておきましょう。その際に、助成金のことも相談をしてください。
助成金には、テクニックがいるケースがあると書きましたが、助成金はこれから導入する制度や研修に対して支払われます。同じことをしても助成金申請のタイミングなどによってもらえないケースがあります。ですので、事前に社労士に相談しておくともらえるはずだったものがもらえないということが起こりにくくなります。なお、ほとんどの場合、助成金の申請業務は成功報酬になっていますので、その点からも手続きをして損はありません。
起業直後の資金不足の段階で助けになることがあります。また、資金に余裕があるのであれば、社員、アルバイトに還元することもできます。
助成金の悪用する業者には気を付けてください。
助成金の制度を悪用する業者もいますので注意してください。例えば、助成金の中に社員に新しいスキルを身につけさせる研修を受けるとお金がもらえるキャリアアップ助成金というものがあります。
この制度自体は、社員への研修が助成金を使ってできるということで非常に良い制度だと思います。特に、社員にキャリア転換をお願いしないといけないような状況ではありがたい制度になると思います。
ですが、この制度を使って、「無料でホームページが作れる」といったようなセミナーを開催している会社があります。簡単に言うと、社員にホームページを作るスキルが身に付く研修をこの制度を使って実施することで、その社員がホームページを作れるようになるので、助成金を使ってホームページが無料でできるということです。
ここまで聞くと、悪くない話ですし、悪用とは言えません。
その研修が相場の数倍だとしたらどうでしょうか?
また、数日~1か月程度の研修で身につけたホームページが企業の顔として機能すると思いますか?
結局、その会社は研修を相場の数倍で販売することができ、企業側は何の価値もないホームページだけが残るという形になるのではないかと想像します。
私は、別のセミナーを聞きに行った際に、たまたま「無料でホームページが作れる」というセミナーも開催されていて聞いただけですので、はっきりとしたことはわかりません。ただ、研修内容の資料を見た限りに、世の中の同様の研修・講座の5倍~10倍くらいの価格だと感じました。
せっかくの制度ですので、できるだけ正しく使ってもらいたいものです。
※私は助成金、補助金などの専門家ではありませんので、用語などの使い方に誤りがあった場合にはご容赦ください。