補助金は事業の追い風になるありがたい制度です。
創業時の資金調達、設備投資、新規事業の立ち上げなど、活用できれば非常に心強い支援策となるでしょう。
しかし、実際の経営支援の現場では、「補助金を使ったが、思ったより大変だった」「申請したけど採択されず、時間を無駄にした」などの声も少なくありません。
補助金はメリットが大きい反面、デメリットやリスクも存在します。
今回は、中小企業診断士として多くの経営者をサポートしてきた立場から、補助金活用の“落とし穴”5つと、それでも前向きに活用するための考え方について解説します。
【1. 書類作成の負担が非常に重い】
補助金の申請には、事業計画・収支計画・見積書・各種証明書類など、膨大な書類作成が必要になります。
例えば「持続化補助金」は比較的簡易な部類ですが、それでも商工会議所の窓口に複数回通い、何度も手直しを重ねる必要があるケースが一般的です。
また、「ものづくり補助金」や「新事業進出補助金」など高額補助の場合は、公募要領だけで数十ページにおよび、専門的な記述が求められます。
初めての方が一人で対応するのは、かなりの時間と労力を要します。
忙しい経営者の方にとっては、「本業に集中した方が良かった」という結果にもなりかねません。
【2. 採択されるとは限らない】
補助金の多くは審査制です。
たとえ何十時間もかけて書類を準備しても、不採択になる可能性が常にあります。
特に最近は申請数が増加傾向にあり、採択率が30~60%程度と、必ず通るとは言えないのが現実です。
一方で、労務関係の助成金などは、要件を満たせば比較的確実にもらえるものが多く、補助金との違いを理解しておくことが重要です。
【3. 採択後の手続きも煩雑】
「採択されたら終わり」ではありません。
実際には、交付申請、精算手続き、完了報告、事業化報告(3~5年間)など、その後も多くの事務作業が続きます。
特に、昨今は補助金の不正使用が問題になっており、国からのチェック体制も厳格化しています。
申請段階よりも、「採択後の方が大変だった」と感じる経営者も多くいらっしゃいます。
【4. 補助金は後払い。資金繰りに注意】
補助金は、経費を「先に支出」し、その後に精算申請するという流れが一般的です。
「補助金が出るから大丈夫」と考えて先に動いてしまうと、自己資金が足りずに資金繰りが悪化する可能性もあります。
とくに創業直後や、小規模事業者にとっては、「補助金に採択されたのに、資金が足りず実行できない」というケースも散見されます。
【5. 事業の自由度が制限される】
補助金は、申請時に提出した内容どおりに事業を行わなければなりません。
つまり、後から市場環境が変わっても、事業内容や設備の変更が簡単にはできず、むしろ「柔軟な経営判断」が妨げられるリスクもあります。
特に創業間もない時期は、事業モデルがまだ固まりきっていないことも多く、補助金に合わせて事業を組み立ててしまうと、逆に可能性を狭めることもあるのです。
【では、補助金を活用すべきでないのか?】
決してそうではありません。
補助金はうまく活用できれば、資金面でも信用面でも大きな追い風になります。
重要なのは、「事業を進める中で、結果的に補助金が活用できる状態になる」ことです。
無理に補助金ありきで事業を組み立てるのではなく、まずは本来の事業計画を整理し、資金計画を立てたうえで、「補助金を活用すればどんな可能性が広がるか」を検討しましょう。
【補助金活用に迷ったら、ご相談ください】
当事務所では、中小企業診断士・行政書士として、補助金申請の支援だけでなく、本質的な事業計画の策定や、申請の妥当性判断、資金計画支援まで一貫してサポートしています。
「この補助金は使った方がいいのか?」
「採択後のことまで考えると不安がある」
そんなときは、まずはお気軽にご相談ください。
補助金は「目的」ではなく「手段」です。
経営の本質に寄り添いながら、最適な選択肢を一緒に考えさせていただきます。
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HATA行政書士・中小企業診断士事務所
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