先日公開した「中高年の開業・起業で気をつけたいポイント」動画の中で、家族の理解と協力の重要性について触れました。今回のテーマはその続きとして、実際に多く寄せられる質問──**「起業したら、配偶者に手伝ってもらうべき?」**について、実体験と支援現場の声をもとに深掘りします。


配偶者に手伝ってもらうのはNG?基本的には“反対”です

結論からお伝えすると、私は基本的に配偶者に手伝ってもらうことには反対の立場です。その理由を3つの観点から説明します。


1. 家計リスクの分散ができなくなる

最も大きな理由は「家庭の収入リスクが高まる」という点です。

たとえば、配偶者が外で月20万円のパート収入を得ていたとします。起業に際して、その仕事を辞めてもらい、事務や受付業務として20万円分を家業で働いてもらう──。収入金額は同じですが、事業が傾いたときには家庭収入も同時にゼロになってしまいます

第三者を雇っていれば、苦しくなったタイミングで雇用調整も可能ですが、家族の場合はそうもいきません。家庭の安全網を残しておくという意味でも、外での収入源は維持しておくべきと考えています。


2. 夫婦仲の悪化リスクが高い

起業して夫婦で24時間365日一緒に過ごすとなると、ストレスも溜まりやすくなります。

私自身も、実は妻が社労士をしていて「最強タッグですね」と言われることがありますが、実際にはほとんど業務連携はしていません。紹介程度の関わりはありますが、一緒に現場へ行ったのは1回くらい。

チャンネル運営も各自で行っていて、YouTubeのコラボもありません。お互いの世界を尊重しながら適度な距離を保っている方が、かえってうまくいくと感じています。


3. 家族雇用は補助金や助成金の対象外になることが多い

3つ目の理由は「補助金・助成金が受けにくくなる」という現実的な側面です。

たとえば、雇用や賃上げを要件とする補助金や助成金では、家族(配偶者)を雇用しても対象にならないことがほとんどです。

結果として、「外部のパートを雇えば補助金がもらえていたのに、家族に頼ったことで対象外になってしまった」というパターンも見受けられます。こうした金銭的な不利益も、選択の際に考慮するべきでしょう。


とはいえ、絶対にNGではありません

ここまでネガティブな面をお伝えしましたが、**状況によっては手伝ってもらうのも「アリ」**です。

✅ スポット的・短時間の手伝いはOK

例えば、私がネットショップを副業でやっていた頃、妻が妊娠中だったこともあり、発送業務などは手伝ってもらっていました。フルタイムではないけれど、空いた時間で少しだけ関わってもらう──そんな形なら無理なく協力できます。

✅ 得意分野を活かした連携は効果的

うちの場合は、給与計算は妻にお願いし、逆に社労士事務所のWeb管理は私が担当するなど、お互いの得意分野を活かして連携しています。

✅ 事業が拡大してきたタイミングでは役割分担も有効

事業が軌道に乗ってきたら、本格的に配偶者と役割分担をして経営するのも選択肢です。特に、理念型のリーダーと管理型のパートナーというバランスがうまくハマると、夫婦経営でも成功するケースが多くあります。


家族だからこそ安心できる一方で、制度や関係性には注意を

最近では「従業員の横領リスク」などのニュースも耳にします。そんな中、家族だからこその安心感というのも確かに存在します。

ただし、それに甘えすぎず、最初はあくまで外部の人を雇う前提で事業計画を立てるのが安全です。そのうえで、状況に応じて柔軟に判断していくのがベストです。


まとめ:家族の関わり方は“段階的に”がポイント

まとめると、

  • 家計リスクの分散
  • 夫婦仲の悪化防止
  • 補助金・助成金の損失回避

という観点から、最初から配偶者を労働力として当てにするのは避けた方がいいです。

ただし、家庭や健康上の事情で外で働けない場合、スポット的な支援や得意分野での連携、あるいは事業拡大後の協業など、段階的に関わってもらう形であれば非常に効果的です。

大阪・豊中・北摂地域で中高年の起業・補助金申請・事業計画のサポートを希望される方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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