新事業進出補助金の第1回採択結果が発表されました。
採択率は 37%。
一見すると「やっぱり補助金は狭き門だな…」と思われる方も多いのですが、実は今回、想定よりも高い採択率でした。
本記事では、
- 採択率が高くなった理由
- 申請数が増えなかった5つの背景
- 第2回が狙い目といえる根拠
- 申請時に気をつけるべき“2つの注意点”
について、専門家の視点から解説します。
■ 採択率37%は「想定より高い」
事務局の当初アナウンスでは、採択率は 15%程度 とされていました。
しかし、蓋を開けてみれば 37%。
想定の 2倍以上 の採択率となりました。
その主な要因は「申請件数が予想以上に少なかった」ことです。
- 事務局想定:申請1万件前後
- 実際:約3,000件
- 採択件数:1,100件
申請数が1/3にとどまったため、結果的に採択率が高くなったと考えられます。
■ なぜ申請件数が少なかったのか?5つの理由
今回の申請数が予想より少なかった背景として、次の5点が挙げられます。
① 採択率15%というアナウンスで挑戦を諦めた
「どうせ厳しいんでしょ」と判断し、申請自体を断念した方が一定数いました。
② 他の補助金の方が採択率が高い
省力化補助金・ものづくり補助金など、比較的採択率が高い制度に流れたケースです。
③ 他補助金の採択歴で要件から外れた
16か月以内に事業再構築補助金やものづくり補助金で採択されていると申請不可。
これに該当して申請を断念した事業者も多いようです。
④ 従業員がいないと申請できない
事業再構築補助金にはなかった条件で、個人事業主などはここで対象外に。
⑤ 申請額の下限が750万円(=最低1500万円の投資が必要)
小規模事業者にはかなり重い条件で、そもそも投資額が届かず申請できなかったケースが多数。
■ 第2回も“申請数が少ない可能性”が高い
上の5つのうち、後半3つ(要件的な理由)は 第2回も変わりません。
つまり、
- 従業員必須
- 過去の補助金採択者は申請不可
- 最低投資額が大きい(1500万円以上)
というハードルは続くため、
第2回も申請数は少なめ → 採択率が高くなる可能性
があります。
新事業に取り組みたい方には、まさに「狙い目」です。
■ 第2回で申請すべき3つの根拠
① 申請数が少なく、競争が緩い可能性
上記のとおり、要件の厳しさから申請者が限定されます。
② 採択率が一定期間は高止まりする可能性
制度開始直後は、情報がまだ浸透しておらず、参加者が少なくなる傾向があります。
③ 賃上げ要件が今後さらに厳しくなる見込み
これが特に重要です。
■ 注意点①:賃上げ要件が年々厳しくなる
新事業進出補助金では、都道府県別の賃上げ率に応じて一定割合以上の賃上げが必要です。
大阪の例:
- 年 2.9%
- 3年で約10%
- 5年で約15%の賃上げが必要
来年以降、最低賃金がさらに上がる見込みのため、
後になればなるほど必要な賃上げ率が増える可能性が高いです。
👉 つまり、「そのうち申請しよう」では、要件が厳しくなり補助金をもらっても実質的なメリットが薄れる可能性があります。
■ 注意点②:実際に事業着手できるまで半年かかる
事業再構築補助金の流れから見ても、
- 申請 → 採択発表(2〜3ヶ月)
- 採択 → 交付決定(2〜3ヶ月)
となるため、
第2回(締切12月)の場合、着手は早くて翌年6月頃。
そのため、
- 来年6〜8月以降に始めても問題ない事業かどうか
- 着手時期がズレても問題ないか
を事前にチェックしておく必要があります。
■ まとめ:第2回は“本気で狙える回”。早めの準備を。
今回の採択率37%は、
「補助金の敷居が高いから取れない」という話ではなく、
単純に申請者が少なかったために起きた現象です。
そして第2回も同じ傾向が続く可能性が高い。
- 投資を伴う新事業を検討している
- 来年夏頃の事業開始でも問題ない
- 賃上げ要件が今より厳しくなる前に動きたい
このような方は、ぜひ第2回を狙ってください。
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