先日、【事業再構築補助金・第13回公募】の採択結果が発表されました。全体の採択率は約35.5%ですが、詳細を見ていくと、業種によって採択率に大きな差があることが明らかになりました。
今回の結果は、現在公募中の【新事業進出補助金】にも通じるヒントが多く含まれていると感じています。この記事では、私自身の支援実績も踏まえながら、結果の分析と今後の対策について整理します。
【業種別採択率の違いが鮮明に】
採択率の平均は約35%でしたが、実際には以下のように大きな差が出ています(※推定値を含む):
- 製造業:52.4%
- 運輸業:42.9%
- 建設業:37.6%
一方で、
- 不動産業:23.2%
- 宿泊・飲食・サービス業:23.5%
と、採択率が大きく下がる傾向が見られました。
私自身は今回、製造業と卸売業で1件ずつ支援し、両方とも採択されました。一方で、宿泊・飲食関係は3件支援し、採択は1件のみ。不採択の2件は、いずれも建物の新築・改装を中心とした事業だったことが印象的です。
【製造業が評価されやすい理由】
製造業の申請内容には、数千万円規模の設備投資や、新しい製品・分野への進出といった「革新性」が見えやすく、国の政策目的である「構造転換」に合致しやすい傾向があります。
たとえば、
- マシニングセンタやNC旋盤などの導入
- 新分野の加工技術による販路拡大
といった内容は、審査員から見ても「変化と成長の可能性」が判断しやすいのではないかと思います。
【宿泊・飲食が厳しい理由と通った事例】
一方で、宿泊・飲食系は、新店舗の出店や民泊などが多く、「単なる事業拡大」に見えてしまう可能性があります。
私が支援した中で採択された1件は、AI搭載の調理機器を導入し、今まで提供できなかったメニューの提供を可能にし、かつ特定ジャンルに特化した差別化戦略をとっていました。
このように、「新規性」や「先端性」を強く打ち出すことが、採択への鍵になります。
【新事業進出補助金にも通じるポイント】
事業再構築補助金は終了に向かっており、現在は後継制度として【新事業進出補助金】の公募が行われています。
この補助金でも、同じ傾向が続くと考えています。
当事務所では、新事業進出補助金に申請する事業者の方に対して、以下の3点を特に強調してアドバイスしています。
① 単なる事業拡大ではなく「新市場への挑戦」を示す
「インバウンド対応だから儲かる」「飲食を増やせば売上が上がる」など、魅力的な話ではありますが、補助金の対象となるには不十分です。社会的に意義があり、リスクを伴うチャレンジであることを、事業計画上で明確に伝える必要があります。
② 先端技術やデジタル活用は必須
導入機器には、AIやIoT、クラウド技術などの先端技術を活用し、その技術が事業にどう貢献するかを具体的に示す必要があります。
③ 建物費は「通らない前提」で設計する
新事業進出補助金は、補助金の中では珍しく建物費が対象となります。ただし、建物関連の支出が中心の事業計画は、審査上かなり厳しく見られる傾向があります。
採択のハードルは高いため、「ダメ元」ではなく、それでも通る理由を明確に示すことが求められます。
【最後に】
今回の補助金結果は、既に不採択になった方にとっては悔しいものかもしれません。ただ、不採択の結果も、次のチャレンジの材料にできます。
新事業進出補助金の公募締切までは残りわずか。準備期間も限られていますが、本質を押さえた計画づくりで、採択の可能性を少しでも高めていくことが大切です。
当事務所では、補助金申請に関する個別相談にも対応しております。必要な方はお気軽にご連絡ください。
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HATA行政書士・中小企業診断士事務所
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