創業や起業のスタート時は夢や希望に満ちあふれていますが、その一方で不安や焦りを抱えることも少なくありません。そんな心理状態につけ込み、創業者をターゲットに高額なサービスを販売する「ひよこ食いビジネス」が存在します。今回は、実際に多く見られる事例をもとに、注意すべきポイントを解説します。

■ ひよこ食いビジネスとは?

「ひよこ食いビジネス」とは、創業したばかりの事業者(いわば"ひよこ")をターゲットに、不安や無知につけ込んで高額な商品やサービスを売りつけるビジネスのことを指します。創業時は事業を軌道に乗せるために様々な支出が必要で、財布の紐が緩みがちです。また、事業の知識や経験が浅いため、営業トークを鵜呑みにして契約してしまうケースも少なくありません。

ここからは、具体的な事例と注意方法を5つ紹介します。





■ 1. 高額な広告営業

創業直後、最もよくあるのが広告営業です。広告営業すべては「ひよこ食いビジネス」ではないです。特に土地勘のない地域で開業すると、「この地域では○○新聞や△△サイトに広告を出すのが効果的です」といった有益な情報もあります。しかし、効果の出ない効果、費用対効果が悪い営業が頻繁に来ます。

中でも注意すべきは以下のようなケースです。

芸能人インタビュー商法

「有名タレントがあなたに興味を持っています。インタビュー記事を掲載しませんか?」と誘い、高額な掲載料を請求するもの。

高額なホームページやSEO対策

ホームページ制作やSEO対策を月額契約で提供し、解約の条件が非常に厳しいもの。最悪なのは、月額契約と思っていたら信販契約になっていて月額契約ではなく単なる分割払いというケースもあります。

広告自体は事業にとって重要ですが、契約前には相場を調べ、複数社を比較することをお勧めします。


■ 2. 高額な情報商材やセミナー

「月収100万円を稼ぐ方法」「最短で成功する秘訣」といったセミナーや情報商材も、ひよこ食いビジネスの代表格です。特に士業に多いです。

  • 無料セミナーに参加 → 「続きは有料で」
  • 「今日だけの特別価格です」と即決を迫る

多くは40~50万円程度の高額商品です。知識習得自体は良いことですが、まずは士業の場合には協会が主催している勉強会やセミナーに参加すること、士業以外の方も公的機関や商工会議所が主催する無料・低額のセミナーに参加し、基礎を固めることが重要です。


■ 3. 書籍執筆の誘い

「あなたのビジネスに注目しています。書籍を出版しませんか?」という営業もあります。一見、魅力的ですが、出版費用が20~30万円かかるケースがほとんどです。

出版自体はブランディングに役立つこともありますが、印税で利益を得ることは難しく、費用対効果は低いことを理解しておきましょう。書籍を営業ツールとして戦略的に活用する意識が必要です。

実際、私も「非接触ビジネス推進と事業再構築」という書籍を知人と共同執筆にて出版していますが、書籍をきっかけに相談に来るような形にしています。


■ 4. 専門家(士業)からの高額営業

法人設立をすると、新設法人リストに基づいて税理士、行政書士、社労士などからのDMや営業電話が急増します。

士業との連携は必要ですが、創業初期は業務量や売上に見合ったサービスを選ぶことが大切です。相場を知らないまま契約すると、不要なオプションが付いた高額契約を結ばされるリスクがあります。特に創業時には売上も小さく高額な報酬に見合ったサービスが必要がないケースも多いです。

商工会議所や信用金庫に相談して、信頼できる士業を紹介してもらうのが安全です。


■ 5. ビジネス交流会への勧誘

「経営者が集まる交流会に参加しませんか?」という誘いも要注意です。特に以下のようなケースには気をつけましょう。

  • 高額な月会費: 月1万円以上の回避を求められ、参加しても成果が見えない
  • 目的不明の集まり: ビジネスマッチングを謳うものの、実態は勧誘目的

もちろん、有益な交流会もありますが、地域の商工会議所や経済団体が主催する会合など、信頼できる場を選ぶことが重要です。


■ ひよこ食いビジネスを避けるためのポイント

  1. 即決しない: 契約を迫られてもその場で判断せず、必ず冷静に検討する時間を持つ。
  2. 相場を調べる: 事前に相場を調べ、高額な契約を避ける。
  3. 口コミや評判を確認: ネットやSNSでその会社の実績や評判をチェック。
  4. 公的機関を活用: 商工会議所、よろず支援拠点、自治体の創業支援窓口に相談する。

創業時は夢や希望に満ちた時期ですが、同時にお金と時間の使い方に慎重になることが重要です。





■ 成果を出せる人もいるし、起業支援とひよこ食いビジネスは紙一重

創業者をターゲットにして儲けようと考えている事業者がいる一方でまっとうなビジネスとして起業支援をしている事業者もおり、その差は紙一重です。

お金を払ったのにサービスが受けれない、連絡が取れなくなったということであれば詐欺ですが、ひよこ食いビジネスはそういうことはしません。単に効果がでないということです。

また、同じ商品・サービスでも効果を出せる人、出せない人がいます。商品・サービス側の問題だけでなく、購入側の問題もあります。特にビジネス交流会などは無駄だったという人が多い一方で、そのネットワークを活用して売上につなげている人も多くいます。

創業者をターゲットにしたひよこ食いビジネスは、表向きは正当なサービスであっても、高額で効果が不透明なものが多いのが特徴です。特に創業時は出費がかさむため、慎重に判断し、信頼できる機関や専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

「これ、必要かな?」と少しでも迷ったら、即決せずに一度立ち止まることが、無駄な出費を防ぐ最善の策です。

今後も創業や経営に役立つ情報を発信していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

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