私が運営しているコワーキングスペースには、多くの起業、開業にチャレンジする人が訪れ、利用いただいたり、相談を受けたりしています。その中で常に感じることは、ゼロからのスタートというのはかなり成功確率が低いということです。

今は、ゼロからスタートを回避することができる環境が整っています。




ゼロからスタートしないために、起業・開業前にしておきたいことは、売上を作っておくこと

私自身の経験でいうと、会社を退職して、独立した際には、ネットショップの運営をしていました。そのネットショップは、会社の退職後に運営を開始したのではなく、会社員時代に副業として運営をしていました。そのような経験も踏まえています。

理想的には、行動量を増やせば必要な売上が達成できる状況を作っておくこと

私のネットショップの場合、会社員時代は投下できる時間にも限りがありましたので、できる範囲の売上規模で運営をしていました。ただ、仕入れ量と広告料を増やせば売上が増えるという状況を作っていました。ですので、会社を辞めてすぐに仕入れ量と広告料を増やして、必要最低限の利益を確保できるようになりました。

インターネットが無い時代であれば、起業・開業というのは、どうしても会社を辞めて、ゼロの状態から事務所や店舗を構えてスタートするという形でしか選択肢がないケースも多かったと思いますが、今は、いろいろな選択肢があります。

会社を辞めて固定収入が無くなると、お金が減る一方になってしまうので、非常にきついです。一定の売上を確保できる確信ができるまで準備する方が良いと思います。

理想的には休日を使って営業をし、平日をフルタイムで働ければ、必要な収入が得れるようにしておくこと

例えば、日曜日を使って、安定的に1万円稼げるようになったとしたら、平日の5日間働けば、月に20万円の収入が得れるという計算が成り立ちます。実際にはここまでシンプルではないですが、このような状態を目指すということです。

会社員として一定の収入があれば、生活に困ることはありませんので、比較的、自由にチャレンジをすることができます。これが、収入ゼロの状態ですと、1日働いて収入ゼロというのは非常にきついです。

業種によりますが、店舗や事務所を借りなくても、下記のような形での営業が今は可能ですので、昔に比べて週末起業などがしやすい環境にあると思います。

  • インターネットを使った個人スキルの売買
  • ネットショップ、オークション、フリマサイトの活用
  • レンタルキッチンを利用した飲食店
  • レンタル店舗を使った短期の店舗運営

友人・知人からの売上は期待しない方が良い

起業、開業前に相談に来られた方でよくあるのが、友人・知人がお店を利用してくれていると言ってるから大丈夫というような話です。実際に利用してくれるかもしれませんが、基本的に過度な期待は禁物です。特別なケースを除いて、期待外れに終わるケースが多いです。

実際に営業をすることで投下コストを抑える方法を考える

起業、独立をして短期間で破綻してしまう場合に多いのが初期コストを多くかけてしまうというケースです。設備投資を必要以上にしてしまい、その返済に追われるというケースも少なくありません。

どうしても、これからスタートという段階では新創業融資制度を使えたりすることもあり、サラリーマン時代とはお金の感覚が違ってしまったり、理想のお店像みたいなものを実現したいということもあって、多額な設備投資をしてしまいがちです。

実際に営業をすることで現実も見えてきます。その中で支払い可能な金額も予測がつきやすくかったり、投資コストも見えてきます。できる限り初期投下コストを抑える方法を考えることが大切です。

確定申告など税金のことも起業、開業前に勉強しておく

また、起業・開業前に確定申告などの税金のこともしっかり勉強しておくと良いでしょう。ちなみに起業・開業前と書きましたが、営業を開始した時点で税務署へ開業届は出すようにしてください。

確定申告というと会社員の場合、馴染みがないので難しく感じますが、きちんと勉強すれば個人レベルの営業であればそれほど難しくありません。しかし、実際に本格的な営業を開始したあとですと、忙しくなり、各申告等に時間を割くことが難しくなる人も少なくありません。

これも、ゼロからではなく、最低限の知識を身につけておけば、申告作業に必要な時間も減りますし、そもそも営業を開始してお金が出入りするたびに一定の記帳や数字の整理をしておくことで作業がスムーズになります。

手続き的に必要なことはできる限り済ましておく

営業する業種によっては、許認可等の手続きが必要なケースがあります。許認可降りるまで動けないというケースもあります。その期間は当然のことながら売上がゼロになってしまいます。

必要手続きによりますが、副業として営業している段階で済ますことができるものはすべて済ましておく方が良いです。