前回の記事でコワーキングスペースが日本全国に800件以上になっていると書きました。ですが、この800件という数字は私自身が運営しているサービスの掲載件数であるものの少し疑問に思う点もあります。そもそもコワーキングスペースとは何か?そして、現状のサービスはどういうものかを書いていきたいと思います。
そもそもコワーキングスペースとは?
そもそもコワーキングスペースの定義は何かと言われるとさまざまな考えがあります。それはコワーキングというものが実体を伴ったサービスや商品ではなく「働き方」だからです。その実体を持たないものが提供される場所がコワーキングスペースであるので定義が定まりにくいです。
この辺りは以前に書きの投稿でも書いたのですが、時間も経過したので改めて書いていきたいと思います。
働く場所としてコワーキングスペースが求められて、そこにサービスが追加されたように思う
コワーキングスペースで仕事をするきっかけというのは人それぞれだと思いますが、私の場合は、会社を辞めてから自宅で一人でネットショップ運営を中心に仕事をしていました。その際に、自宅で一人で仕事をしているとさまざまな誘惑があって集中できないし、他人との接点がない毎日というのは言葉で言い表せることのできない不安感のようなものがあります。
自宅に在庫を保管して自分で受注、発送作業をしていた時期には、どうしても自宅を離れることができなかったのと、受注、発送作業だけで半日ほどの時間が必要だったので明確な問題意識はなかったのですが、在庫管理や発送作業を外注に出してぐっと時間が取れるようになってから明確に問題意識を感じるようになりました。
まずは集中するために自宅を離れてファミレスやカフェに行くが何か違うという感覚
時間が取れるようになったので集中して仕事をする場としてファミレスやカフェに行くようになりました。確かに誘惑は少なくなるので集中はできるようになるのですが、何か違うという感覚があります。
長時間に渡って座席を占拠することはお店に対して悪い気もするので、お客さんが増えれば落ち着かなくなりますし、当然のことながらランチタイムやディナータイムには退散します。また、楽しくおしゃべりをしていたりする人や読書などをしている人が多い中でパソコンをガシガシ打っているのもしっくりきませんでした。集中できる環境は多少は手に入りますが、孤独であることからくる不安感のようなものは一緒なわけです。
で、その結果、行きついたのがコワーキングスペースであり、コワーキングスペースを利用した体験をもとにコワーキングスペースの運営を開始したわけです。
コワーキングスペースのサービスが何かということについていろいろと言われますが、私の場合には仕事に集中できる環境と、よくわからない孤独感というか不安感の払拭できる場が必要だったということです。
コワーキングスペース誕生の下地としてシェアオフィスやSOHOがあったのかと感じる
コワーキングスペースと類似のサービスとしてシェアオフィスやレンタルオフィスがあげられます。また、最近はあまり聞かなくなりましたが、SOHOというのも20年ぐらい前にはよく聞きました。
自宅では集中できないという問題は最近の人間が持つ問題ではなく、人間の特性みたいなものなのだと思います。(もちろん自宅で集中できる人もいると思いますが。。)だから、昔から図書館で勉強をする人は多いですし、有料自習室というものはかなり古くから存在しています。ただ、仕事においては勉強のように持ち出すことができなかったのだと思います。
今のように持ち運べて長時間使えるノートパソコンができ、資料類が電子化さり、個人で完結できる仕事が増えたという状況があって初めて仕事をする場所というものがオフィスという場所に縛られることがなくなったのだと思います。
で、その手始めにシェアオフィスであったり、SOHOが誕生したのだと思いますが、小さなオフィスで働いたことのある人はわかると思いますが、毎日、同じ人と狭いオフィスで顔を合わせるというのは意外ときついものがあります。
ちょうど、そのころにカフェブームが来ました。(スターバックスの日本1号店は1996年、2000年ごろから本格的にカフェが増えだした印象です。)で、決められた狭い場所よりもカフェの方が良いと思ってカフェを使う人も増えたのですが、私が感じたようにカフェはカフェで違うと思う人も多くいたのでだと思います。
その結果とコワーキングスペースにあたるサービスが誕生したのではないかと感じています。
フリーアドレスのデスクが軸となりつつ、事業として成立させるために付帯サービスが生み出されたのではないか
前述のような背景を考えるとコワーキングスペースに必要なのは極論すればデスクスペースのみです。
下記の写真は日本で最初のコワーキングスペースカフーツを取材させていただいたときの写真になります。見ていただいたらお分かりいただけるように大きなデスクスペースがあるのみです。
ちなみにこの時の取材記事はこちら
私と同じ感覚でコワーキングスペースを必要と思う人からすれば、このような形のデスクだけで十分です。ですが、これでは収益としては厳しいというのが実際です。それは座席数を増やしても同じです。コワーキングスペースはカフェにおけるコーヒーのように目に見える物やサービスを提供するわけではないので、デスクスペースに対する対価ということだけではどうしても単価が安く設定せざるをえなくなります。
そこで、事業として成立させるために、さまざまな付帯サービスが用意されています。
例えば・・
単価を上げるためのサービスとして、登記利用や住所利用、電話代行、スペースによっては飲食提供というものもあります。また、利用者を広げるために、起業家を支援するサービス、自習利用者が目標達成するためのサービスといったものがあります。
また、そもそもコワーキングスペースを収益サービスとして考えていないというケースもあります。
次回は、コワーキングスペースと類似している事業、ビジネスモデルについてまとめてみたいと思います。