起業を考えている方から相談を受けていると、
「家族に反対されています」
「友人からやめた方がいいと言われました」
「周囲がみんな無理だと言うので不安です」
という話をよく聞きます。
確かに、起業はリスクを伴うものですし、身近な人から反対されると不安になるのは当然です。
しかし、中小企業診断士として多くの創業相談を受けてきた経験と、自身の起業経験から言うと、周囲の賛成や反対そのものにはあまり意味がありません。
今回は、起業を考える際に本当に見るべきポイントについてお伝えします。
「そんなビジネス成立しない」と言われたコワーキングスペース
私は2015年にコワーキングスペースを開業しました。
現在ではコワーキングスペースという言葉も一般的になりましたが、当時はほとんど知られていない存在でした。
日本政策金融公庫へ融資相談に行った際も、
「それは何ですか?」
「そんな需要があるのですか?」
という反応でした。
また、5年ほど前にも、コワーキングスペース事業を検討している事業者と金融機関へ相談に行ったことがあります。その際も、
「自宅で仕事すれば良いのでは」
「住所を借りる需要があるとは思えない」
という意見を聞きました。
しかし実際には、当時200件程度だったコワーキングスペースは全国に広がり、一つの市場として定着しています。
もちろん、すべてのコワーキングスペースが成功しているわけではありませんが、「理解されなかったから失敗する」とは限らないということです。
賛成されるビジネスが成功するわけでもない
一方で、
「その立地なら絶対成功する」
「その商売なら儲かる」
と周囲から言われていたお店が閉店するケースも数多く見てきました。
そもそも、本当に誰が見ても良い立地であれば、なぜその物件が空いているのでしょうか。
また、多くの人が「良い」と思うビジネスは、すでに多くの競合が存在している場合も少なくありません。
周囲の賛成は、必ずしも成功を意味するわけではないのです。
起業時に参考にすべき意見とそうでない意見
私が起業相談でよくお伝えするのは、
「反対されたこと」ではなく、
「なぜ反対されたのか」
を考えてほしいということです。
友人や家族の意見は、もちろん善意から出ているものです。
しかし、多くの場合は経営経験や事業経験に基づく意見ではありません。
そのため、
「危なそう」
「前例を知らない」
「失敗したら大変そう」
という感覚的な意見になりがちです。
一方で、経営者や専門家からの意見には、過去の事例や経験に基づく根拠が含まれている場合があります。
そのため、賛成・反対という結論ではなく、その背景にある理由を確認することが重要です。
私が起業相談で反対するケース
実は私は起業相談で反対することが少なくありません。
ただし、それには一定のパターンがあります。
例えば、
・その業界で長年経験を積んでいる
・顧客基盤がある
・必要な技術やノウハウを持っている
というケースであれば、基本的に反対することはありません。
一方で、
・思いつきで始めようとしている
・業界経験がない
・十分な準備ができていない
という場合には慎重な意見を伝えることがあります。
ただ、それは否定したいのではなく、「本当に大丈夫か」という心配からです。
また、見知らぬ中小企業診断士に少し反対された程度で諦めるのであれば、そもそも起業後の困難を乗り越えることは難しいかもしれません。
起業するなら重視したい2つのポイント
では、どのような事業を選べば良いのでしょうか。
私が重視しているのは次の2点です。
① 本気で取り組める事業か
事業は始めてすぐに成功するとは限りません。
私自身もコワーキングスペースが黒字化するまで約3年かかりました。
その間には、
「もっと儲かることをやった方が良いのでは」
と思うこともありました。
しかし、自分がやりたいことだったから続けられました。
日本政策金融公庫の創業融資でも、
「なぜその事業を行うのか」
という点は重視されます。
経験や想い、これまでの準備など、自分なりの理由がある事業は強いと感じています。
② 新しさがあるか
ここで言う新しさとは、世界初のビジネスという意味ではありません。
例えば、
・東京で流行している業態を地方へ持ち込む
・既存サービスに新しい価値を加える
・地域に存在しないサービスを提供する
これも十分な新しさです。
重要なのは、
「競合に勝てる理由があるか」
「市場が存在するか」
ということです。
業種や地域によって事情は異なりますが、何らかの差別化要素や新しさは重要なポイントになると考えています。
まとめ
起業を考える際に、周囲の賛成や反対を気にしすぎる必要はありません。
大切なのは、
・なぜその事業をやりたいのか
・長期間取り組めるのか
・市場が存在するのか
・競合と差別化できるのか
を考えることです。
また、最初から大きな投資をするのではなく、小さく始めて検証しながら改善していくことも重要です。
特にセカンドキャリア起業やシニア起業の場合は、何度もやり直せる状況を残しながら挑戦することをおすすめします。
周囲の評価ではなく、自分自身の覚悟と市場の声を基準に判断していただければと思います。
お気軽にお問合せください。

HATA行政書士・中小企業診断士事務所
お気軽にお問合せください。
当事務所は、安楽寺内にあります。代表が運営しているコワーキングスペースが隣接しています。

