起業したいと考える人の割合は年々減少しているそうです。「中小企業白書」によると起業希望者の人数はバブル期の1987年の178.4万人がピークで、2012年には83.9万人とほぼ半分になっています。総人口数や総人口における年齢分布も変わっていますので、絶対数だけを見るというのは間違いかもしれませんが、起業希望者は減少しているということは何となく肌で感じます。

起業希望者が減っている理由は、やはり「起業に失敗したらすべてを失う」というイメージではないでしょうか。そもそも「起業=会社を辞める」という固定概念に縛られる必要はない時代に入っています。本来は、起業しやすい環境になっていると思うのに起業希望者が減っているということを残念に感じます。

起業するからと言って会社を辞める必要は無いし、むしろ辞めない方が成功への近道かも

最近も、私の後輩が起業をすると言って会社を退職してチャレンジしましたが、思うような収入が得れないということでサラリーマンに戻りました。起業してから相談を受けたりしていたのですが、実は会社を辞める前に相談してくれたら良かったのにと心の中では思っていました。

そもそも起業して成功するのは難しい、9万社が起業して9万社が廃業しているらしい

ここまで起業を薦めるような流れの文章ですが、そもそも起業して成功するのは難しいです。成功というのは定義があやふやですが、成功の最低条件は継続しているということです。起業するのは簡単です。何のサービスも商品もなくても「開業届」を出せば個人事業主になれますし、30万円もあれば株式会社を作ることもできます。ですが、継続するためには売上と利益をあげていかないといけません。

「起業 廃業」などでググってみると、「9万社が起業して9万社が廃業」というタイトルや「創業後3年以内の廃業率70%時代」というタイトルが目に入ってきます。書かれている内容には同意できること、疑問に思うことがありますが、起業をして継続をするのは難しいということは事実です。

起業をするから会社を辞める、起業に失敗したらすべてを失う時代ではなくなっている

起業をすると言えば会社を辞めてから。起業に失敗したらすべてを失う。というイメージを持つ人が多いと思います。そのイメージは30年、40年以上前に作られたものではないかと思います。30年、40年前というのは私は子供のころですので、実態を知っているわけではありませんがインターネットが一般的になる前の時代を想像するに今ほど起業は容易くなかったと思います。今であればお店、サービスの宣伝をホームページで無料ですることもできますが、紙媒体への掲載や看板などを用意するのが必須だったはずですし、宣伝という意味でもオフィスを借りたり、店舗を借りるということがほぼ必須だったのではないかと思います。また、今のようなパソコンが無いのでちょっと規模がでれば事務員を雇わないと経理はもちろんのこと、さまざまな事務作業ができなかったと思います。

余談ですが、私が就職したのは1997年ですので、20年前です。その頃にはパソコンが置いている会社というのは珍しかったです。大企業でも個人パソコンというのはなく部署共有のような形が多かったです。2000年代初頭には個人パソコンが当たり前になっていたのでそれだけ急速にパソコンが普及したということです。

少し脱線しましたが、オフィスや店舗のような場所を借りたり、事務員を雇うとなると会社員をしながら片手間でというわけにはいきませんし、そもそも必要となるお金が数百万では収まらず1000万円以上が必要となります。また、当時であれば、今のようにEメールはもちろんのこと携帯電話もありませんでしたので、仕事中に連絡をつけるということ自体が至難の業だったかと思います。

当時であれば、起業をするには会社を辞めないといけないし、起業に失敗したら大きな借金を背負ってしまうというのは当然だったのかもしれません。(今でも、飲食店のような店舗運営であればこれに近い状態かと思いますが。。)

現在であれば、インターネットはもちろんのことさまざまなサービスを活用すれば会社員でありながら起業することは難しくありません。むしろ、会社を辞めずに起業する方法を模索すべきだと思います。

毎月、決まった給料をもらえる環境であることが正しい判断とチャレンジができる精神状態を保ちやすい

会社員であるということは何を意味するかと言えば、毎月決まった日に決まった給料をもらえるということです。そして、その引き換えに決まった日時は会社に行って仕事をするということです。

この決まった日に決まった給料をもらえるということは非常に安心感と安定感をもたらしてくれます。起業したビジネスによる収益(給料)と関係なく生活ができるということは、宣伝等のお金を投資する際にも正しい判断ができますし、失敗したとしても生活基盤を揺るがすわけでもありませんのでチャレンジしやすいです。

ゼロから始めて大きく展開することは難しいし、バックボーンの無い個人であればサラリーマンであることをバックボーンにしないといけない

ゼロから始めて、数年のうちに全国展開をしている経営者はもちろんいます。TVなどで目にすることもあると思います。ですが、起業をして全国展開ができるまでのお店を作る、CMを流せるようなビジネスに育てるというのは、よほどの才能と運に恵まれないといけません。ちなみに運というのはバカにできないと思っています。競合サービス、競合店舗が弱かった、近くにできなかったや、インフルエンサーとなる人がたまたま来てくれたというようなことにも恵まれないといけません。

また、急速に成長しているお店やサービスはバックボーンに大きな会社があることも多いです。私が関連するコワーキングスペース業界も大きなスペースはそのバックボーンとして大企業があるケースは少なくありません。最近でいえば、「fabbit」という店舗数を増やしているスペースがありますが、ここなどはアパマンが経営をしているスペースとなります。

急に出てきたサービスでCMなどを展開しているサービスはその資金を投下できる何かのバックボーンがあるケースがほとんどです。それでもサービスが成功するかどうかはわかりません。だからこそ、サラリーマンであることをバックボーンにして安定した生活を確保しながら起業していくという戦略は正しいのではないかと個人的には思っています。

会社を辞めずに起業するって難しくないかという疑問には

会社を辞めずに起業するというのは難しいですよねという意見は多くあります。会社の就業規則の副業禁止ということは少々ハードルがありますが、ぶっちゃけ黙ってやっていればいいと思います。成功しなければ誰にもばれませんし、成功してばれたらその時点で会社の退職を検討すればよいと思います。

それ以外のことは、解決していくだけの能力がなければ会社を辞めて起業しても成功していくのは難しいのではないかとさえ思います。もちろん業種などによってはオーナー、経営者が最前線に立ち続けないといけません。その場合には会社員をしながらというのは難しいでしょう。また、会社員と一口に言ってもさまざまな仕事があるので、制約があるケースもあると思います。

ですが、その制約を超えていくだけの能力は必要だと思いまず。時間がないなら、クラウドソーシングを活用したり、友人・知人を頼るのもいいでしょう。場所がない、オフィスが必要ならコワーキングスペースやレンタルスペースを使えばがいいと思います。電話を受けれないなら電話代行を使えばいいです。

少なくともチャレンジするところから始めてもらいたいです。