不寛容の時代に生まれたお互いさまが大切なコワーキングスペース
コワーキングスペースを運営しているとさまざまな人が訪れます。利用をお断りするケースはほとんどないのですが、稀にご利用を遠慮いただくケースがあります。それは、どういう人かというと、「お互いさま」を大切しない利用者の方です。
ちなみに私が運営しているコワーキングスペースはこちらです。
[blogcard url=”http://umidass.com/”]
どんどん不寛容になっている社会の中でお互いさまを大切にするのがコワーキングスペース
この投稿を書くきっかけは、「「551蓬莱の豚まん」が新幹線で食べられなくなる日」という記事を読んだのがきっかけです。
[blogcard url=”http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1803/13/news046.html”]
詳しくは上記の記事をお読みいただければと思うのですが、かつては新幹線でたこ焼きの販売もされていた時代もあったが、「551蓬莱の豚まん」も食べることができなくなりそうだというのです。そして、それは正論であろうと言いがかりであろうと切れたもの勝ちとなってしまう社会が背景にあるのではないかという記事です。
急速に息苦しくなっている社会と感じている人も多いのではないだろうか
私個人としても、隣の人が「551蓬莱の豚まん」を食べていたら嫌だなと思うことは否定しません。自分が新幹線でも仕事をしないといけないシチュエーションであれば、注意まではしなくても嫌な顔はするだろうと思います。
健康被害のあるタバコは話が違うと言われるかもしれませんが、私が子供のころには、電車内や駅の構内でも吸うことができましたが、いまや安心してタバコを吸えるのは自宅ぐらいです。この20~30年で急速に息苦しいというか、禁止事項が多い社会になったと感じる人も多いのではないでしょうか。
自分の主張や権利を大声で通す人が得をしてしまう社会
お店などをしていると理不尽な要求をしてくる悪質クレーマーも増えました。そして、その横暴さに店員の心が折れてしまいごね得してしまうことも少なくありません。私個人の経験としても何時間も電話で怒鳴ってくる悪質クレーマーに負けてしまったこともあります。
この点については、国も「カスタマー(顧客)ハラスメント」として対策を講じていくと発表するほどです。
[blogcard url=”http://www.sankei.com/life/news/180315/lif1803150007-n1.html”]
コワーキングスペースでは、声が大きい人の要求を通すと、「場」が壊れてしまう
「「551蓬莱の豚まん」が新幹線で食べられなくなる日」という記事を読んで、不寛容な社会になっていると感じるとともに、コワーキングスペースは真逆の「お互いさま」を大切にしているなと思いました。そして、コワーキングスペースは、多くの人が「仕事、勉強に集中できる」とか「孤独感が無くなる」のが特長と言っていますが、もしかしたら、「お互いさま」を大切にする空気感が求められているのかもしれないと思いました。
コワーキングスペースは共用スペースだから「お互いさま」が無ければ成り立たない
コワーキングスペースは、多くの人が利用する共用スペースです。そして、カフェやレストランのように飲食といった場所以外の目的があるのではなく、「場」そのものを求めて利用されています。ですから、「場」の空気が非常に大切です。
考え方はスペースのオーナーやスタッフによって異なるかもしれませんが、私の運営しているコワーキングスペース「Umidass」では、1人1デスクというのがベースにありますが、人が少ないときには自由に使っていただいて構わないと思っています。
隣の席に荷物を置いてもいいですし、レンタルスペース部分を占拠して使ってくれても構いませんし、集中スペースであっても1人しかいなければ電話してくれても構いません。
でも、人が増えてきたタイミングでは、まわりのことを考えてもらいたいと思っています。それを最初に陣取ったから私の場所だといわんばかりの態度を取る人もいます。そういった人には利用をご遠慮いただいてます。そうしないと「場」そのものが崩壊してしまい、1人のお客さまのために、他のすべてのお客さまが気分を悪くされたり、それで利用されなければ経営自体が成り立たなくなるからです。
うまく言えないですが、人って、周囲との関わりを持てないと不寛容になってしまい、精神的にも余裕がなくなるのかなと
他人と干渉しあい、詮索されたり、強要される村社会を嫌って、都会に出てきたものの都会では周囲の人が【知っている他人】ではなく【赤の他人】だから不寛容になってしまう人が多くなってしまい社会全体がこんな風になったのかなと思ったりします。
コワーキングスペースを運営していると、【赤の他人】同士の段階って、やっぱり不寛容な関係になってしまうのですが、スタッフを介したりして、会話をするようになったり、忘年会などの場を経て、【知っている他人】になることで【不寛容な関係】から【お互いさまの関係】に変わっていくのを目の当たりにしています。
何かの結論があるわけではないのですが、会社における他人(同僚)というのは単なる【知っている他人】ではなく、利害関係があるので、さまざまな思惑の中での関係であることも少なくありません。その点、コワーキングスペースは、利害関係のない人同士の関係であり、その空気感が求められているのかなと思った次第です。
さらに追加すると、折しも今日は春のお彼岸です。Umidassのある安楽寺でもお彼岸の行事がおこなわれます。お彼岸とは、祖先供養の行事ですが、春の彼岸は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とも言われ、これはおそらく豊作祈願的な意味からきているのだと思いますが、彼岸は祖先のいるあの世を思うことでこの世(此岸(しがん))にいる自分自身を見つめる日なのかもしれません。
いろいろな考えはあると思いますが、この世にいる有限の時間を思うもよし、祖先に見られているかもしれないと思って襟を正すもよし、少なくとも周囲の人を良い関係を持てる「お互いさま」の精神を大切にしたいものです。