創業にはお金が必要ですが、必要な資金をすべて自己資金で用意できるという方は少ないです。そのため、多くの方が何かしらの形で資金を調達しています。創業時に使える資金調達手法について紹介します。

創業時に使える資金調達方法は大きく3つ。そのメリットとデメリット、注意点

創業時に使える資金調達方法は次の3つとなります。

  • 親族・友人等から援助してもらう・借りる
    • 投資家からの投資を受ける
  • 補助金や助成金を受ける
  • 金融機関から融資を受ける

それぞれについてもう少し詳しく説明すると

親族・友人等から援助してもらう・借りる

親族・友人等から援助してもらう・借りるメリット

① 一番大きなメリットは手続きが簡単なこと

他の方法である、「補助金・助成金」や「金融機関からの借入」には、必要書類や事業計画が必要となります。また、実際にお金が手に入るまで1か月~数か月の時間がかかります。その点、親族・友人からの援助、借入の場合には、書類もなく即日でお金を手に入れることができます。

② 利息や期限などに余裕があるケースが多い

親族・知人であれば利息が発生しなかったり、返済期限もあいまいとなるケースが多いです。

親族・友人等から援助してもらう・借りるデメリット

① 人間関係や信頼関係にひびが入る

実際に借りることはなかったとしえも、お金を借りる打診をした段階からこれまでの人間関係ではいられなくなるケースが多いです。

返済が遅れることになれば、さらに人間関係は悪化することになりますし、お金を貸している側と借りている側という立場がある限り、日常においてもこれまでどおりの人間関係というわけにはいかないケースが多いと思います。

② 金額は小さい傾向

親族・友人等から援助として受け取ることができる金額は、数十万~数百万円前半のケースが多いです。事業に対しては足りないケースも多いと思います。

親族・友人等から援助してもらう・借りる場合の注意点

親族・友人等からお金を援助、借りる場合は、デメリットである人間関係や信頼関係への影響を少なくするためにも口約束ではなく書面に残すなどの手続きはした方がよいです。

具体的には、 借用書、金銭消費者契約書をきちんと作るということです。

借用書や金銭消費貸借契約書を取り交わすことで、返済に関してのもめごとを防ぐことができます。また、書面が無い場合には、贈与とみなされ贈与税が発生する可能性もゼロではありませんので、そういったことを防ぐためにも作成しておきましょう。

借用書、金銭消費者契約書は、弁護士や行政書士に依頼することも良いですが、インターネットにあるひな型の利用で十分だと思います。「金額」「借用日」「返済期日」「利息」「理億損害金」「返済方法」などが明記されておれば、多くのもめごとは防ぐことができます。

金額が大きい場合や相手との関係を考えた場合に、「公正証書」に残すという方法もあります。「公正証書」にすることで強制執行が可能となる、裁判で有効となるという効力がありますので、貸主には安心感があると思います。

投資家から投資をしてもらう

親族・友人以外として、投資家から投資してもらうという方法も一つではありますので、紹介はしておきますが、現実的には創業タイミングというのは聞いたことがありません。一定の結果を出したうえで、事業拡大タイミングなどでは可能性が出てきます。

補助金や助成金を受ける

創業・起業にあたって多くの方から補助金や助成金を使えないかと相談を受けるのですが、結論から言うと、創業時に受け取ることができる補助金や助成金はないと考えてもらう方が良いです。

補助金は先払いとなり、入金まで時間がかかる

創業時に使える補助金としては、「小規模事業者持続化補助金」がありますが、創業タイミングの資金調達としては不向きです。補助金は、基本的に先払いで経費を使用し、使用した経費の一部をあとから補助してくれるという制度になっているため、補助金が活用できたとしても資金調達を先にしておく必要があります。

助成金は、雇用に関する制度のため、創業時に活用できるケースは少ない

助成金は、雇用に関する制度となります。従業員の雇用時や待遇改善などをした際に活用できる制度です。創業タイミングで使えるとすれば、雇用時の助成金ですが、多くの場合、雇用に伴う給料の方が大きくなりますので、資金調達という意味合いでは活用が難しいと思います。

都道府県や市区町村の制度は活用できるケースがある

前項の補助金・助成金という呼称の意味は、国の制度の場合の呼び方です。都道府県や市区町村では独自の補助金・助成金制度を設けている場合があります。地方では移住を条件にした支援制度や就農支援などはその一つと言えます。

金融機関から融資を受ける

創業時の資金調達の本丸は金融機関からの資金調達となると思います。金融機関からの融資には、大きく2つあります。いずれも公的融資と言われる制度となっており、国および自治体の支援によって成り立っている融資です。

  • 日本政策金融公庫からの融資
  • 金融機関からの融資(保証協会付き融資)

日本政策金融公庫からの融資:新規開業資金融資

日本政策金融公庫からの融資制度は、これまで新創業融資制度がありましたが、2024年3月に同制度は廃止されました。今後は、新規開業資金融資へと移行されていくことになります。

新規開業融資は、融資限度額は、7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっており、担保・保証人はケースによるという形になっています。

融資にあたって自己資金要件はありませんが、実際のところ自己資金がないと融資実行は難しいケースが多いです。金利は、およそ1~2%程度となっています。

自治体によっては、利子に対する補給制度があるケースも多いです。当事務所のある豊中市の場合には、200万円までの利子の1%が補給されます。

日本政策金融公庫からの融資には創業計画書の作成が必要となります。ご自身での作成が難しいという場合には、当事務所でも支援していますので、お気軽に相談ください。

【関連リンク】

金融機関からの融資(保証協会付き融資)

金融機関からの融資を受ける場合には、創業時に対応をしてくれるのは地域の信用金庫や信用組合などの金融機関となります。

地域の金融機関は保証協会を通じて融資をしてくれます。保証協会付き融資とは、簡単に言うと、お金を借りた人が返せなくなった場合に保証協会が金融機関に対して借入金を返済してくれる制度です。※金融機関に対する制度です。返済が滞った場合、保証協会が肩代わりしますが、事業者は保証協会への返済を求められます。

金融機関からの融資は、地域の金融機関の経営方針、保証協会、自治体によって手続き方法などが異なるため、近隣の金融機関に相談されることをおすすめします。地域には複数の信用金庫、信用組合があり、金融機関によって方針も異なるため、複数の金融機関に相談をされることをおすすめします。

なお、日本政策金融公庫で借り入れる場合にも口座が必要となります。そのため、地域の信用金庫、信用組合にて口座を作る方が良いので、融資の必要性に関わらず地域の金融機関に相談をさせた方が良いです。

日本政策金融公庫と金融機関融資の違い

金利や融資額などを考える日本政策金融公庫にて借り入れるをされることをおすすめします。ただ、状況によっては地域の金融機関の方が融資をされやすいケースもありあますので、平行して打診をされるのも一つの方法です。

  • 日本政策金融公庫は、金融機関より金利が低い傾向にあり、自治体の利子補給などの制度がある場合もある。また、保証協会付き融資の場合には保証料が必要となる。
  • 日本政策金融公庫、地域の金融機関に平行して相談する場合には、隠さずに伝えておく方が良い
  • 金融機関独自での創業融資制度がある場合もある。
  • 日本政策金融公庫は面談などがあるが、計画作成の相談などは難しいケースが多い。金融機関での融資の場合には、担当者が一緒に考えてくれるケースもある
  • 日本政策金融公庫は、お金を貸すための機関のため、事業開始後のフォローなどはないが、地域の金融機関は定期的な訪問や顧客紹介などがあるケースもある。

お気軽にお問合せください。

HATA行政書士・中小企業診断士事務所

お気軽にお問合せください。

当事務所は、安楽寺内にあります。代表が運営しているコワーキングスペースが隣接しています。