創業融資が否決される理由は、大きく3つ。細かく見ると7つとなります。この点について説明をしてきます。
- 自己資金が不足している
- お金の管理に関する信用
- 通帳のお金の流れ
- 税金の未納
- 個人信用情報
- 事業計画の問題
- 未経験分野(実行力の不足)
- 返済ができない事業計画
- 事業規模が大きすぎる
創業融資が否決されてしまう理由について
創業融資が否決される理由はいくつか考えられますが、冒頭に書いたとおり、大きく3つ、細かく見て合計7つとなります。
大項目で見ると下記のように判断されています。次項目で詳しく説明していきます。
自己資金が不足 | 準備不足や計画力がどれくらいあるかを判断 |
お金の管理に関する信用 | お金をきちんと返せる人であるかどうかの判断 |
事業計画の問題 | 事業の実現性や返済に足る計画であるかの判断 |
① 自己資金が不足している
現在、創業融資を受ける場合には、新規開業資金という制度を利用することとなります。以前の新規創業融資制度は自己資金が1/10という要件がありましたが、新規開業資金は、自己資金に関する要件はありません。
新規創業融資制度の場合も自己資金1/10で融資が実行されることはあまり聞いたことがありませんでした。実際は、1/3 ほど用意している方が融資が実行される方が多かった印象です。
自己資金は創業・開業に対する準備度、本気度を表す
要件上、自己資金は不要となっているにも関わらず自己資金が重視されるのは、金額そのものではなく自己資金が創業・開業に対する準備度、本気度を評価するのに最適だからです。このあとで説明する、「お金に対する信用」「事業計画」が数字として表れるのが自己資金であると考えても良いと思います。
融資を申込みの半年~1年以上前から必要な資金を計算し、必要な自己資金をコツコツ貯めてきたということが事業に対する計画性や、お金をコツコツ貯めることができる人という信用につながるということです。
評価されにくい典型例として、今の仕事を急に辞めて、流行りの事業を開始するという場合があります。計画性は感じられませんし、何よりもこの人は計画している事業に対して長期的に取り組むのだろうかという疑問が発生し、否決につながります。自己資金が少なくて融資が実行されたケースはあまり見たことがありませんが、長年、経験したきた事業分野に取り組む場合で何かの事情で急遽独立をする必要が発生したという形であれば可能性があります。
② お金の管理に関する信用問題
融資を受けるということは、お金を借りるということですので、お金に関する信用情報は一番重要です。当事務所でも支援させていただく中でもっとも支援が難しいのがこの問題となります。この点に不備があると感じた方は、半年~1年掛けて信用を高めるとともに自己資金を貯金するというのも一つの方法としてアドバイスさせていただくことも多いです。
通帳のお金の流れ、支払い期日は守られているか?不審な入出金はないか?
融資の申し込みにおいては、通帳を見せる必要があります。通帳の流れを見ることでいくつものことが判断できます。
家賃や公共料金など定期的な支払いが期日どおりに支払われているかどうか
家賃や公共料金は引き落とし、振り込み、コンビニ払いなどいくつかの支払い方法がありますが、創業融資を受けるまで期間のある方は引き落としにしておくのがベターだと思います。通帳の履歴から毎月きちんと支払いがされているかどうかを確認することで支払い期日を守る人かどうかということが判断されます。
自己資金はコツコツと貯めてきたものであるかどうか
自己資金は金額そのものだけでなく、どのように貯めてきたものであるかどうかも一つの判断基準となります。融資申し込み直前に多額のお金が急に振り込まれているような場合には、見せ金ではないか?親族・知人から借りたものではないかと疑われます。長期にわたってコツコツと貯めてきたという形が通帳上で確認できるのがベストな状態です。
不審な入出金や借入がないか
自己資金だけでなく、不審な形での入出金がないかどうかということを確認することでお金に対してクリーンな人かどうかということが判断されます。創業前は会社員だった場合には、入金は基本的に給料だけのはずですので、不審な入金はすぐにわかります。また、融資の申し込み時に現在の借入状況を記載しますが、出金記録を見ることで他の借入がないかどうかということもわかってしまいます。未申告の借入があった場合には、借入の存在自体ではなく、申告をきちんとしない人ということで評価が低下します。
税金の滞納がないかどうか
日本政策金融公庫の融資、信用保証協会を使った融資ともに公的な融資となりますので、税金の未納がある方は融資を受けることはできません。
所得税、住民税に関してサラリーマンの方の場合には、税金が未納となるケースが低いですが、確定申告を必要とする方は注意してください。また固定資産税や自動車税などの支払いがある人は必ず期日までに支払うようにしてください。
個人信用情報はクリーンであるか
一般的にブラックリストと言われる状態となっている人は融資を受けることはできません。クレジットカードやローンの支払いに遅れた場合、破産や任意整理した場合などに個人信用情報に登録され、金融機関はその信用情報を確認することができます。信用情報に登録される条件はご自身でお調べいただくと良いと思いますが、延滞は61日以上の延滞で登録され、一度、登録されると5年間登録が残ると考えておいてもらうと良いです。
日本政策金融公庫は、CICという信用情報を照会します。ご自身の状況は、CICのホームページから開示請求ができます。(費用がかかります。)
最近、耳にすることが増えたのが、携帯電話の割賦販売です。コンビニ払いにしている方などは放置してしまってるという方が時折おられますので、ご注意ください。
③ 事業計画に関する問題
①、②の問題は私たち専門家でも解決が難しいですし、個々人の方にとってもすぐに解決することは難しく、時間を掛けて準備していかないと解決ができません。一方で、事業計画についてはしっかりと計画を作ること、計画の内容の見直しにて解決ができる可能性があります。
未経験の分野
一番、難しいと感じるのは未経験の分野での創業、開業です。経験がないため、事業そのものを遂行できるのか?事業計画どおりに進めることができるのかという疑問を持たれます。
政策金融公庫は、経験の目安として5年以上の経験の有無を見ています。この5年というのは新創業融資では自己資金要件がなくなる要件でもありました。なお、経験というのはアルバイトというのは評価されず、社員としての経験が評価されます。
未経験の場合には、経験がないことをカバーするだけの材料を提供する必要があります。例えば、FCへの加盟、経験者との共同経営・サポートの確約などが一つの解決策です。また、ミニマムな投資規模からスタートするというのも一つの方法だと思います。
返済できない事業計画
借入金の返済は事業の利益から行わなければいけません。事業開始後1年後くらいには、利益にてご自身の生活費+返済額の利益が出ていないと返済ができないということになります。法人の場合には、営業利益からの返済となりますが、十分に生活できるだけの報酬を支払っている必要があります。
事業規模が大きすぎる
創業融資を受けるということは初めての事業運営ということです。事業規模が大きいと身の丈にあっていないということで事業規模を小さくするように言われるケースが多いです。否決後に、もう少し家賃の安い小さい店舗からスタートするように見直すように指摘されるケースは多いです。
事業規模が大きすぎるというと、大規模なことと感じられるかもしれませんが、ものすごく大きいというわけではなく、代表+1~2名程度で回すことができない規模だと見直しを指摘されることが多いです。飲食店ですとカウンターのみ、理美容室だと2席ほどが適正であると考えられているように思います。
このあたりは、自己資金やご自身の経験によっても評価は変わってきます。十分な自己資金があり、これまでも店舗の運営経験があり、経験のあるスタッフが雇用でき、顧客も見込めるというくらいしっかりとした準備ができていれば融資が実行される可能性があります。
実際問題として、雇用をするということは採用、給与計算、マネジメントなどの業務が発生し、必要な売上も大きく増えますので、スモールな状態から地道に事業を大きくされることが良いと思います。
事業計画の策定については、当事務所で支援ができます。お金の問題についても確認をさせていただき、可能性の助言をさせていただくこともできますので、お気軽にご相談ください。
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