創業計画書は、「創業計画書は、事業を通じて返済が可能であることを示す計画書」であるということを下記の投稿においてまとめました。
創業計画書「取扱商品・サービス」「取引先」は、事業内容を伝える項目です
下記投稿にて、「創業の動機」と「経営者の経歴」では、あなたの情熱と決意と能力を示す項目であると解説しました。
創業・開業にあたっての動機や経験を通じて、「なぜ創業するのか?」「経営者として事業を運営していくことができる能力があるのか?」という疑問に答えたわけですが、次に「取扱商品・サービス」「取引先」にて事業内容を伝えます。
例えば、「創業の動機」と「経営者の経歴」では、飲食店をします。飲食店で働いていた経験はあります。といったことを伝えた段階です。「取扱商品・サービス」「取引先」にて、どのような飲食店であるのか?「誰に」「何を」「いくらで」「どうやって」売るのかということを伝えていくということです。
ここの説明によって、必要な機材や客単価などが明らかになり、次の「必要な資金と調達方法」「事業の見通し」につなげていくことになります。
取扱商品・サービスで、しっかりと事業内容を伝える
「取扱商品・サービス」については、必ず別紙を用意して写真や図などを使って事業内容を伝えた方が良いです。広く知られているビジネスモデルであれば、メニューなどの用意でも十分ですが、新しいビジネスの場合には、ビジネスモデル自体(お金や商品、人の流れ)を図示した方が良いです。融資担当者は知っているだろうと、その点をおろそかにすると面談の段階で口頭の説明が必要となります。口頭説明は資料も残りませんし、正しく伝わるかわかりませんので、その点からも資料を用意した方が良いと言えます。
事業内容は、事業全体の概要を説明
「取扱商品・サービス」は複数の小項目があります。追加資料では、必ずしもこのフォーマットに揃える必要はありませんが、読み手からすると項目を揃えてくれている方が読みやすいと思いますので、特段の事業がなければ揃えた方が良いでしょう。
まず、最初の事業内容は、これから説明する「商品・サービス」「客単価」「ターゲット」などを読んでいただくうえでの事前情報となりますので、それが伝わるようにします。最低でも下記のようなことは説明しておきたいです。
- 業種
- 商品・サービスと価格
- 場所
- ターゲット
- コンセプト
創業計画書を作っているタイミングによりますが、パンフレットやホームページがすでにあるのであれば、そういったものを活用して事業内容を説明すると良いでしょう。
取り扱い商品・サービス・客単価、営業日数、定休日・営業時間
通常、売上は、「客数×客単価×購入頻度」にて計算します。この算出の根拠となる情報です。単一事業であっても複数の計算の合算になるケースがありますので、その点がはっきりするように書きます。
例えば、飲食店であれば、ランチとディナー、平日と土日では、客単価も客数も異なってきます。同じ飲食店でもビジネス街と歓楽街では異なってきますのでその点を明確にします。
上記の計算は「事業の見通し」にて記載することになりますので、そちらと整合性を取った形で記載してください。また、必要に応じて写真などもあるとより伝わりやすくなります。
セールスポイント、販売ターゲット・販売戦略、競合、市場は差別化集中戦略を意識すると良い
「セールスポイント」「販売ターゲット・販売戦略」「競合・市場」を書きなさいと言われると「うっ」となる人も多いと思いますが、簡単に言うと「お客さんが他店ではなくあなたのお店を選ぶ理由」を説明するということです。
ここが、まったく無いということであれば、事業内容はもう少し練った方が良いと思います。
セールスポイント
ここで意識していただきたいのは、「差別化集中戦略」という他者と差別化できる要素を作ってそこに経営資源を集中的に投下するという考え方です。中小企業の基本戦略とされています。
また、「他店よりも美味しい料理を提供する」といった客観的な評価がしにくいものはあまり好ましくありません。まず、競合となりうるお店、企業を設定し、競合店と比較した違いを表現します。
日本政策金融公庫の記載例は以下のようになっています。こちらをもう少し掘り下げて、他店との比較として説明をすることでしっかりと差別化をします。
◆日本政策金融公庫の記載例
販売ターゲット・販売戦略
事業をするうえで、誰をターゲットにするのかということは非常に重要です。経営者からすると、できる限りに広く設定をしたくなりますが、中小企業は広いターゲットを設定すると差別化要素が少なくなるのであまり好ましくありません。
ターゲットを設定したうえで、そのターゲットにどのようにアプローチしていくのかということをまとめます。この内容も後半の運転資金などと関連します。広告をする場合には、広告費用が運転資金として必要となりますので、その整合性を取る必要があります。
競合・市場
「セールスポイント」「販売ターゲット・販売戦略」「競合・市場」の3つは関連しあっていますので、上から埋めていくのではなく、相互に見直しながらまとめていきます。
例えば、小学生がターゲットの学習塾の場合、近隣の小学校がターゲットとなり、生徒数が明確にわかります。そうなると経営上、必要な売上を考えた場合、近隣の小学校の生徒の何%の獲得が必要なのか?あるいはできるのか?その人数から見ると単価はどのくらいに設定する必要あるのかということを考えます。
「取引先」は決まっているとベター、特に事業のコアとなる部分は決めておく
次に「取引先・取引関係等」ですが、事業開始前段階ですべての取引先を見つけることは難しいです。日本政策金融公庫においてもそのことは認知されていますので、すべてが書けなくても大丈夫です。
しかり、事業のコアとなる部分については、取引先が決まっている方が良いです。前段の記載例にを元に説明すると「飲食店の場合の地元の食材」、「美容室の場合の天然ハーブ」を手に入れるルートが無ければ、そもそも事業自体が成立しません。
取引は確定ではなくとも、交渉中であるとか、現状で進めていることは記載するようにしてください。
ちなみに「販売先」が決まっているというのは非常にプラスの評価を得ることができます。通常は、創業・開業後に新規開拓から開始する必要があり、最初の売上が入ってくるまでに時間がかかります。その間も家賃や光熱費などの費用は発生します。この初期費用にあたる部分が少ないというのは大きなアドバンテージになります。
理美容室などでは、独立にあたって勤務先の担当顧客を引き継ぐことを認めてもらえるケースがよくあります。そういったことがあれば、記載しておくことは大きなプラス評価となります。
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