起業相談において、失業手当の期間が終わってから開業します。という相談が結構多いです。詳細は内容で説明しますが、個人的には失業手当をもらうよりは早く起業した方が良いと思っています。そこに今回、制度見直しがありました。失業手当を貰わずに起業したが、廃業してしまった場合に、受け取っていなかった失業手当が貰えるというものです。
起業失敗でも失業手当を受給できる権利が3年延長される
起業失敗でも失業手当を受給できる権利を3年延長するという記事が令和4年1月7日にありました。下記記事です。これから起業する人にはぜひ頭に入れておいてもらいたい制度です。
そもそも失業手当とはどのようなものか
まず、従来の失業手当についてさらっと説明しておきます。正式には「雇用保険」と呼び、雇用保険の加入者は、退職した場合に再就職のための支援として「失業手当(正式には基本手当)」を受給することができます。受給資格はハロワークインターネットサービスには以下のようにあります。
- ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
- 離職の日以前2年間に、被保険者期間(※補足2)が通算して12か月以上あること。ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
起業してしまうと失業手当はもらえない
失業手当の給付条件が就職する意思があること。ですので、当然、起業してしまうと失業手当はもらえません。具体的には、会社を設立したり、開業届を出すともらえないと言われています。ちなみに受給期間が残っている状態で起業すると「再就職手当」がもらえます。※失業手当に関する詳細な規定はハローワークや社労士さんなどに確認してください。
失業手当の支給額は状況によって異なる
支給額は、離職日の直前6ヶ月間に決まって支払われていた賃金を180で割り、その50~80%の金額 ※賞与などは含まれません。また、支給期間は、90日~360日の間で「退職した日の年齢」「雇用保険の被保険者であった期間」「離職理由(自己都合退職か、会社都合退職か)」によって異なります。※現在は、コロナ特例対象で期間延長される制度もあります。
ハローワークに確認したり、自動計算してくれるようなサイトもありますので、そういったサイトを参照いただくと良いと思います。
起業相談でも失業手当の支給が終わってから起業するという人は多い
失業手当の期間が終わってから開業します。という相談が結構多いです。ちなみに、「求職活動をせずに、創業の準備・検討をする」のは給付対象外です。「求職活動中に創業の準備・検討をする場合」は、対象とされているようです。
ちなみに、私自身は会社員時代から副業を開業していたこともあり、離職=失業とならなかったため、失業手当もらえませんでした。。
支給を受けたい気持ちはわかりますが、時間がもったないないです。
気持ちはわかるのですが。。時間がもったいないなと感じます。
失業手当は条件によりますが、合計するとそれなりの金額ではありますが、起業タイミングをずらすほどの金額かと言われると微妙です。金額的には、生活に必要な程度の金額ですので、創業資金に回せるかと言えば、そういう金額でもありません。失業手当を受給している間は、他の収入を得ることができませんので、なおさらです。
で、今回の制度見直しは大きい
起業失敗でも失業手当を受給できる権利を3年延長。という記事ですが、どういうことかと言うとこれまでの離職の翌日から1年間という失業手当を受け取れる期間が3年延長されるということです。つまり、離職日から4年間失業手当が受けれるようになるということです。
従来:離職日から1年以内に起業し、2年目以降に廃業した場合には、失業手当がもらえない ⇒ 制度見直しで ⇒ 離職日から4年以内に廃業した場合には、受給を終えていない失業給付をもらえる。
起業・開業した場合の廃業時のリスクヘッジ、セフティーネットになる
起業・開業した場合には、自分自身が経営者となるため、廃業すると当然のように失業手当をもらうことはできません。会社員であれば、仕事を辞めてもすぐに就職しなくても、失業手当というセフティーネットがあるのですが、経営者にはこれがありません。
今回の見直しによって、4年間という縛りはあり、雇用保険に加入していた人限定ではあるが、起業・開業にあたってのセフティーネットの一つとなると思います。
1月17日召集予定の通常国会に雇用保険法などの改正案として提出されるようです。ですので、実際の施行はもう少し先の話になると思います。
近い将来に起業・開業を考える人は、
これまでのように失業手当をもらってから起業・開業するのではなく、あえて失業手当を多く残したまま起業・開業することをお勧めします。事業が順調に稼働した場合には、受給資格を失うことになりますが。。万が一の場合のセフティーネットとして残した方が良いです。その際には、この制度、見直しについてしっかりと確認してもらいたいです。制度活用に必要な手続きなどをしておかないと受給できると思っていたのに、受給できないということが無いようにしてください。
詳しくは動画も確認ください。